枕とマットレス、どちらが大事か?

枕やマットレス、またオーダーメイド枕を検索している方も皆さん一度は疑問に思ったことがあるかも知れません。「枕とマットレス、どっちが大事か??」これは実は中々難しい話で、ヘタをすれば寝具店の販売員様でも、その理由や対応策をキチンと詳しく答えようとすると、なかなか困窮してしまう問いかけです。
ただ、答えは単純明快で
枕とマットレスでは「役割」が異なるから、どちらが大事か言い切れない
というのが答えになります。
ではなぜ、そんな簡単な答えなのに、理由の説明が難しくなるのでしょうか?
この項では、そんな知っているようで知らなかった、認知されているようで認知されていなかった、「枕とマットレス」の関係性を中心にお話していきます。

枕、マットレスの役割とは?
枕とマットレス、どちらが大事か?
の説明をする前に、各々の基本的な役割を先にご紹介していきます。
詳細は各タイトルで、ご説明していきます。
【枕の役割】
枕の役割は、基本的に頸椎(首)~後頭部にかけて(首から上というイメージ)の寝姿勢を安定させる為にあります。(*)もちろん首から上の寝姿勢が整っても、首から下、主に胸椎~腰椎(胴体部付近)などの寝姿勢が崩れると、結果として寝姿勢は崩れ、身体への負担は大きくなりますが、枕とマットレスの関係性の詳細はまた後で出てきます。
枕が身体に合っているという状態は、C7水平線基準とした頸椎傾斜角度によって決まってきますが、測定・作成の設備環境や、頸椎傾斜角度には個人差があるため、枕の測定・作成者にキチンとした姿勢知識がないと判断基準が難しくなります。ですので、身体に合わせて作ったオーダーメイド枕といえど、品質差がうまれる要因にもなるのです。【オーダーメイド枕の品質差について】
【マットレスの役割】
マットレスの役割は、基本的に胸椎~踵骨にかけての寝姿勢の安定の為にあります。近年では高反発や低反発など、反発係数を意識したマットレスが主流になっていますが、寝姿勢の安定を図る為には実は反発係数はあまり関係ありません。正確には、反発係数を全身で一緒くたにかける事によるデメリットの方が高くなってしまい、○○反発等よりも、寝姿勢をいかに「身体への負担を少なく保てる」様にするかを考慮する事の方が大切になります。
(*)マットレスについて詳しくは、【マットレスの選び方】をご参照下さい。

枕の役割とは?
枕の役割とは?そもそも何の為に枕が必要になるのかというと、主に頸椎~後頭部付近にかけての寝姿勢を安定させる為にあります。ここで出てくるのが「寝姿勢の安定」という考えですが、身体に合う枕と合わない枕ができるのもこの「寝姿勢を安定」させる事ができているのか?出来ていないのかで、ほぼ決まります。
詳細は「理想的な寝姿勢」に記載がありますが、枕の役割は(主に)この「理想的な寝姿勢」の首から上部分を支え、安定させる為にあります。特に肩こりや腰痛等で枕を探している方の場合は、身体への負担を軽減させる必要があるため、この「寝姿勢の安定」に目を向けなくてはいけません。ですので少し極論にはなりますが、高反発や低反発などの(これもマットレス等と同じですが)素材はあくまで二の次になります。
あくまで枕の役割は主に頸椎~後頭部にかけての、寝姿勢の安定にあります。
身体に合う枕=首から上の寝姿勢を安定させてくれる枕
身体に合わない枕=寝姿勢が理想的な状態にならず、崩してしまう枕
と言い替える事ができます。
基本的に何でも眠れるという方を除くと、いかにこの「寝姿勢を安定」させられるか?という事に主眼を置かなくてはいけません。
再三お伝えしていることですが、「身体に合う枕」と「好みに合う枕」では全く異なる事も多く、また寝具店等でよく言われるのが「試し寝をしてくださいね。」という言葉ですが、これも売り場などの短時間では、感触確認がメインになり、寝姿勢の確認ではない為に、持って帰っていざ使ってみると合わない・・・となってしまいます。

【枕購入時のアドバイス】
肩こり・腰痛・不眠症など、身体の痛みや不調がない方の場合は、基本的にお好みの枕で問題ありません。
逆に、肩こりや腰痛・不眠症など、身体の痛み等がある方の場合には、「負担の少ない寝姿勢の安定」にこだわらなくてはいけません。ですので、痛みや悩みなどがあり枕の購入を考えている場合には、とにかく寝姿勢を安定させられるかどうかを念頭に入れる事が最も大切になります。
ですので肩こり・腰痛など痛みのある方の場合には、その方の姿勢を測定する姿勢測定機器が導入されていたり、姿勢判断ができるような、姿勢の専門知識取得者のいるお店をおすすめします。
【オーダーメイド枕購入時のアドバイス】
余談にはなりますが近年、測定機を利用して作るオーダーメイド枕が爆発的に増えました。それとともに、睡眠改善研究室でも2016年度辺りから、(他店で作った)オーダー枕から(睡眠改善研究室の)オーダー枕に作り変える方が多くいらっしゃいました。とてもありがたい事である反面、お客様にとってはもったいないのも現実です。
ズバリ言いますが、オーダーメイド枕は万能ではなく、キチンと身体に合わせる事ができるなら最高の枕になりますが、場合によっては合わない枕になる可能性もあります。オーダーメイド枕は品質差が生まれてしまいます。(*)詳細は「オーダーメイド枕の品質差について」>>
寝具の資格や、内部資格(販売企業内で習得可能な資格)をメインに押し出し、オーダーメイド枕を商品として捉え販売しているお店が増えてきました。
オーダーメイド枕を販売している以上、商品であることには確かに間違いではないのですが、ただの商品として捉えていると、数を売ることに注力してしまう傾向があります。(もちろん経営上、ある意味仕方ない事ではありますが)その結果、どうしても数を売る為の流れ作業になってしまい、一番大切な「寝姿勢を安定させる」という目的が少し薄れてしまう事もあるようです。
ですので、肩こりや腰痛など痛みがあり、オーダーメイド枕の作成を考えているなら、姿勢測定機が導入されており、姿勢知識・資格を持つ専門店へのご相談をおすすめします。
(*)姿勢測定機は、枕作成用だけの測定機よりも、オーダー枕の精度を高める為に数種類あり、多角的に測定できる環境が望まれます。
マットレスの役割とは?

マットレスの役割は、(枕の首から上に対して)主に首から下(胸椎~踵骨付近)を支える事にあります。基本的な考え方は枕と同じですが、身体に合うマットレスというのは、いかに身体に負担が少なくなるような「寝姿勢を安定」させられるかどうかにあります。

腰痛や肩こりの方は特に
素材よりも姿勢形状に合うか
合わないかの方が大切
【マットレス購入時のアドバイス】
【オーダーメイドマットレス購入時のアドバイス】

寝姿勢の安定の為にマットレスはあり
寝姿勢を安定させる為には、姿勢形状を測定し
その方に合うマットレスを選ぶ必要がある。
枕とマットレス、どちらが大事か?
上記にて枕とマットレスの役割について書いてきましたが、結局、枕とマットレスどちらが大事なの?となると、このページの最初にも書いた通りに「枕とマットレスでは役割が違う」の一言に尽きます。
ですので、「枕が大事だから!」・「マットレスが大事だから!」と、どちらか一方が強くすすめられていたら少し疑ってもいいかもしれません。
例えるなら、車で言うところの、タイヤが大事か?ハンドルが大事か?見たいな事と同じで、あくまで役割が異なるので、優劣は無い!という事になります。
またよく素材や感触での優劣を比較したりもしますが、腰痛や肩こりの緩和サポートを考えると、素材や感触よりも「寝姿勢をいかに安定できるか?」の方がよほど大切になりますので、サイズや品質スペックだけの確認での購入は、お止めになる方が懸命です。
とにかく枕やマットレスの役割は、身体への負担を軽減できる様に「寝姿勢を安定させる為」にあり、枕は主に頸椎~後頭部を、マットレスは主に胸椎~踵骨を安定させる為にあります。

まとめ
枕とマットレスの役割について書いていきました。「結局、どっちが大事やねん?」という質問に対する答えは、基本的に、枕とマットレスの役割が異なるので、どちらが大事と断定できないという事になります。
・枕の役割について>>
・マットレスの役割について>>
ここでの注意点ですが、枕とマットレスは「どちらかだけ購入すれば良い」ものではありません。身体への負担を軽減させる様に、寝姿勢を安定させる必要があり、その為に枕やマットレスの必要性があるので、枕だけで良い・マットレスだけで良い、とはなりません。
また、腰痛や肩こりなどの対策に枕やマットレスをお探しの場合には、身体へ負担の少ない「理想的な寝姿勢の安定」を保つ事が必要になるので、姿勢知識資格の取得者や、身体測定機(手動測定機では、どうしても誤差が出やすい為、機械測定機が望ましい)の導入されている専門店をおすすめします。(*)身体測定機は、用途ごとに数種あるお店が良いです。一種類ではどうしても測定データの偏りが起きやすくなります。